1.
最近、香を焚いた後の灰を捨てずに集めている。
どれくらい焚けば、香炉いっぱいになるくらい残るのだろうか。
今のところ、小さいものとは言え一箱全部焚き終えても、十分の一も埋まりそうにない。
2.
その世界はいつも灰色の空に覆われている。鈍色の低い空には鳥の一羽も飛んではいない。時折吹く風も音のない静かなもので、聞こえるのは世界を埋め尽くす雨音ばかり。決して大きい音ではないが、しとしとしとしととただ止むことなく永久に降り注ぐ雨の世界。視界に移る全てに灰色のフィルターがかかって、目を焼く鮮やかさなど世界中どこを探しても見つかることはない。白も黒もくすんで、それぞれ濃度の違う灰色になる。雨は時折強弱を付けながら変化するけれど、強くて小雨、弱くて霧雨。ただ決して、止むことはない。雨音に満ちた世界。静寂がもたらす耳鳴りなどここの住人は誰も知らない。無も有も存りはしない。曖昧な境界線に留まったまま、決して晴れることなく、昼も夜も変わらぬ薄暗さで、永遠に灰色に沈んでいる。
それは、確かに「進まない」世界だけれど、誰一人進むことを望んでいない住人たちにとっては、どんな世界よりも心安らぐ幸せな世界なのだ。
激しい喜びだけが幸せなものではない。
静かに満ち足りた幸福というものを、ここの住人は皆よく知っている。
3.
全てを内包して何も持たない。それが恐らくその性質で、だからこそ好きなのだと思う。
*番外。
子供の頃、尾が異常に長い上に体の5倍くらいの長さの羽を持つ、そんな鳥をいつも描いていた。冠羽もあってそれもやはり尾と同じくらい長い。延々とこう同じやつばかりを描いていたのは覚えているのだが、結局それが何だったのか、何故あれほどお気に入りだったのかは未だに分からない。そもそも想像の中にしか住んでいないやつで、実在などしていないし、どこかで見たことがあるわけでもないのに、一体どこから入り込んだ妄想なのか。結局のところ今現在の私の長い布(袖とか鉢巻でも外套でもいいからとにかく長くてヒラヒラするもの)好き・飛ぶ物好き(というか翼萌え?)・細長いもの好き・優美な曲線美(…)好き、は、全てここから来ているような気がするのだが、その大本であるあの鳥は一体どこからやって来たのか。物心ついた頃には既に描いていたし。ただ今も昔も絵心がなさすぎたのでまともな絵には決してならなかったが、理想は頭の中にずっとあったのだ。
そしてそれはいつの間にか変質して今の私に幼少の頃から付き合っている妄想上の友達が未だに存在している。はっはっはっ、お前の原型は鳥さんだったのだよ、ラーク。だからってお前の名のラークはlarkではないけれどね。つづりも違うが第一あんな小さいものでもなかったし、名前が鳥の名前っぽくなってしまったのは偶然も偶然、ものすごい偶然なんだよな。まあ、英字で書くとそもそも鳥の名前っぽくもなくなるけど。

2010.03.10 03:26
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むか~しのことだが、一度雑誌で目にして、それからずっと気にかかっていたものである。
どれくらいかというと、もうあれが何年前のことだったのかも思い出せないくらい昔のことなのに、未だに手帳からタイトルを消せずにいたくらいには気になっていた。ちなみに確かなのはこっち-九州-に来る前だったということなので、少なく見積もっても7年くらいは経っているはず。
気にはなっていたが、古本屋でも見かけないし、どころか普通の本屋でもあまり見かけたことがない。とにかくマイナーらしい、ということだけは分かっていた。でも気にはなる。
という、微妙な距離感を保ちつつ数年。
他の-これまたマイナー過ぎてどこにも在庫がなくて某サイトで入荷したら報せてね、と設定しておいた-本を買おうとして、それだけだとどうしても代引き手数料の方が元手よりかかってしまいそうで、ちょっと躊躇っていた時に、またしてもこの作品のことを思い出した。
ので、見てみたら完結してる。
迷わず全巻注文入れた。
届いた。
読んだ。
…正解。
わりと好きなタイプの話が続いて、エンディングもわりと納得の行くものだったので、私個人の感想としては大正解。一般受けするかと聞かれたらちょっと考えてしまうけれど、こういう話が好きな人は結構いると思うし、わりと、探せばコアなファンも結構いそうな気がする。
で、この作者さん、他の作品描いてないかーと検索してみて、ビクッとしてしまった。
…鳥籠学級じゃないか。
これまた微妙に気になるけれど今のところ判断材料が乏しくて保留にしているもの。
うーん。でもやっぱり、テンポはゆっくりなんだから、これも完結してから考えることにしよう。うん。
ただ、検索してみて、意外なことにちょっと驚いた。
あまり雑誌を読まない私にしては珍しく縁のある作者さんだった…というか、多分、雑誌だろうけれど、よく覚えてないんだけど、ただ、読んだことあるんだよな。時計館の管理人も、あなたの知らないあの世界も。他のはないけど、でも、私の本当に少ない雑誌購入回数と、その中でも「覚えていた作品」の割合を考えると、奇跡のような頻度で出会っているとしか考えられない。
でも鳥籠はまだ保留。
が、鳥籠は置いといて、夢喰見聞はやっぱり大正解だった。
…はて、仲間は果たしているだろうか?!
…元々仲間いないから無理か。
……私、自分ではそこまでマイナー趣味だと思ってないんだけど。でも流石にここまで言われ続けるとそうかも知れないと納得はする。でもやっぱり心のどこかで私はマイナーではないと主張し続けている。堂々巡り。
…そもそも「外」に結論求めたところで返ってくる答えは決まっているから、要は私が心のそこから自分はマイナー趣味だと認めてしまえば葛藤も何もないわけだけど、どうしてもそんな風には考えられない自分がいる。だって本だっていっぱい出てるし、ネット検索しても情報とか出て来るし、明らかに私は「普通」の領域にいるとしか思えないじゃないか。何故誰も認めてくれないのだろう。
なんというか…普通、である、というのも大事なんだけど、寧ろメジャーであると認められないというか…だって…だって…メジャー趣味じゃないか…やっぱり。
思考のどこかでつじつまが合わないのは分かるんだけど、長年続いていたもんだから最早どうにもならない。
でもそれは置いといてやっぱり夢喰見聞は良かった。
というわけで読んでください。そして語ってください。大いに。

2010.03.09 09:34
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